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除夜の雪 [落語]

毎年この時期になると無性に聴きたくなる落語の噺がある。桂米朝の十八番の一つ「除夜の雪」である。この噺は江戸時代の大阪のお寺が舞台となっていて、基本は幽霊話なんだけど、僕が大好きなのは冒頭にある古参の坊主と(気の利く)新入り坊主の掛け合い。米朝さんの話芸で300年前の大晦日の夜のリアルな光景がよみがえる。落語ってほんとにすばらしい!

淀五郎と勝四郎 [落語]

忠臣蔵の季節が近づいてくると聞きたくなる落語の噺がある。三遊亭圓生の十八番の一つ、「淀五郎」である。先輩の歌舞伎役者の叱咤激励を嫌がらせと勘違いした若き淀五郎は、自らを追い詰めてしまい本番の舞台で本当に腹を切る覚悟を決める。いとまごいのため世話になったもう一人の先輩役者のところに立ち寄ると、その先輩役者は即座に事情を察し、淀五郎を諭すのだった。何度聞いても味わい深いシーンである。
昨日アップされた内田樹さんのブログ記事「『七人の侍』の組織論」の中で説明されている「組織における勝四郎的存在の役割」と、「淀五郎」という噺に伏流している教訓のようなものとが僕の頭の中でオーバーラップした。
http://blog.tatsuru.com/2010/11/22_1626.php

赤めだか [落語]

先日、立川談春さんの独演会を観に行ってきた。生まれて初めて観る生の落語はたいへん素晴らしいものだった!披露された二つの噺の演目名は忘れてしまったが、一つは三度の飯より若い男女の縁談をまとめるのが好きな伯父さんの噺。そしてもう一つは江戸のとある大きな商家の真面目過ぎる息子の性分を心配した父親が、近所でも有名な札付きの遊び人二人に頼み込んで、その息子を吉原デビューさせてもらうまでを描いた噺。
噺の枕では、談春さんの著書『赤めだか』(扶桑社)(2008年講談社エッセイ賞受賞)について、受賞を知らされた時のエピソード、また本には書けなかった談志師匠の家で起こったこわ~い出来事について軽妙に語っていらした。
現在この本を半分くらい読み進めたが、たいへん面白い。この読み易さったらない。
以前ほぼ日でもこの本が紹介されていたのを思い出した。
http://www.1101.com/itoi_books/2008-12-27.html

地獄八景亡者戯 [落語]

『特選!!米朝落語全集 第十五集』のCDに収録されている「地獄八景亡者戯」をiPodで聴く。諸々の理由で他界したばかりの亡者御一行が地獄巡りをするこの噺は69分間に及ぶ長篇落語である。関西弁の亡者たちは、鬼の船頭が漕ぐ小舟で三途の川を渡ったり、閻魔大王の裁きを受け人喰い鬼に呑まれ胃袋の中で大騒ぎをしたりする。この御一行はたいへん愉快で陽気な地獄巡りを繰り広げるのであった。
この噺は、最近読んだ漫画『弥次喜多 in DEEP』(しりあがり寿 エンターブレイン)で描かれていた異界の世界観に通じるものがあった。
先日、NHK放送の「スタジオパークからこんにちは」にみうらじゅんさんが出演されていた。その時のみうらさん曰く、これからは「地獄ブーム」がやって来るらしい。
以前「ほぼ日」で思想家の吉本隆明さんが親鸞の『歎異抄』について語るという企画があった。親鸞は弟子の唯円に向かってこう言ったそうだ。
「天国に行きたいと、ちっとも思わない。それは普通だよ。」
http://www.1101.com/shinran/index.html

落語で江戸の歌舞伎座へGO!! [落語]

桂米朝さんの落語DVD『THE 米朝』に収録されている「本能寺」を見た。このお噺の中で米朝さんは、江戸時代の歌舞伎公演の模様をたった一人で再現するという離れ業を披露されている。米朝さんの見事な話芸に乗せられ、気がつくとまるで自分が江戸時代にタイムスリップして歌舞伎座の桟敷席に座し芝居を見ているかのような幸福な感覚に包まれていた。